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毎年夏になると開いてみたくなる本があります。それは『金魚の恋』という絵本です。坂崎千春さんの作品で、私の持っているのは中公文庫版。文庫なのでいつでもどこでもちょっと開けるという手軽さも魅力です。
本棚から出して、リビングに置いておきます。夜、一杯やりながら、あるいは休日のなにもすることのない時間にぱらぱらページをめくると、なんとも心が落ち着くのです。
物語は、小さな金魚鉢のなかで進行します。春、鉢の中には赤い金魚が1匹。女の子のようです。彼女は長いこと1匹でそこにいるらしい。春の終わりに、そこに新しく黒い金魚がやってきます。こちらは男の子。
2匹、というより2人は楽しくおしゃべりしたり、遊んだりします。追いかけっこやガマン比べ、時にはケンカをすることも。そのうちどうやら2人は恋心を抱いたようす。
秋から冬へ。黒い金魚の元気がなくなっていきます。彼はもといた「大きな世界」にあこがれているのです。そして、その世界に届くよう、金魚鉢から大きくジャンプ。
つぎの春。赤い金魚は前のとおり1人になってしまいました。彼女は、黒い金魚といっしょにジャンプすることが出来なかったのです。金魚鉢のちっぽけな世界が、彼女は好きだったから。
物語はこれだけです。シンプルで、流れるように話が進みますから、さらさらと読めて、しかも何度読んでもあきることがないのです。
今年ももう何回、同じページを繰ったことか。私にとって、最高の清涼剤でもあるのです。
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